浦永雑記

つれづれなるまま綴る雑記

Jewelry from INDIA via...

インドのジャイプールは古くから宝石の街として知られていて、その中でもAmrapali(アムラパリ)というジュエリーブランドの品々は、日本からでもネットを介して購入することができるらしい。


webサイトを見てみるに製品のデザインもかわいいし、インドから荷物が届くとしたらわくわくする!と思って、実際に個人輸入してみた記録です。


◆購入〜決済
アムラパリの公式サイトで、他のECサイトのようにカートに入れる→クレジットカード決済します。
200USD以上だと配送料が無料と書いてあったので、3点で201USDになるように品物をチョイス。


決済画面に進むと、輸送方法は
①EMSなら無料
②補償ありの宅配便なら有料
とあり、さらにクレジットカードでの決済方法は

①インドの国内銀行経由
②名前を聞いたことのない(調べたらアジア圏ではメジャーらしい)決済サービス経由
PayPal経由
の3種類から選択できるようになっていました。


ネット上のご意見では「配送事故に備えて補償ありが安心!」「PayPalは手数料は高いけど情報保持の点では安心!」と目にしましたが、迷わず浦永は
①EMS かつ ①インドの国内銀行経由
を選択。

浦永は「石橋を叩くには通行料が要るよ」と言われたら叩かずに速攻で渡る主義です(=吝嗇)
あとこういうのってwebデザイン上、一番スタンダードな決済方法を一番上に持ってくる気がする。というわけで①×①です。



◆届くまで
さて、あとは届くのを待つばかり。
購入直後のメールには「発送したら連絡するけぇそれまで待っててつかぁさい!」と記載されていましたが、折しもCOVID-19で大騒ぎの時期……発送連絡およびUPSアメリカに本社がある巨大物流企業)での追跡番号が来るまでは10日くらいでした。

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配送ラベルがつくられ、
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ジャイプールを出発。

そもそもジャイプールからMY HOMEまでは5,700kmありますが、一体どうやって来るのでしょう。
インドから日本への船便は最低2か月かかるらしく、この時点で2020/05/28到着予定と表示されていたので、きっと飛行機で来るのだろうと目星をつけます。

飛行機の就航状況を調べてみると、
・インド→日本への直行便は旅客機ベースで考えればデリー/ムンバイ/バンガロール/チェンナイ→東京のみ(カーゴはまた別の可能性がある)
・アムラパリのあるジャイプールには国際空港はあるけれど、タイ/UAE/オマーンにしか就航していない
なので浦永予測では、まず

・ジャイプール→(5h陸送)→デリー

ここまでは確定であろうと考え、関西在住なので、

①デリー→東京→(陸or空)→関西
②デリー→香港とかバンコクとかアジア内の第三国→関西
このいずれかのルートで配送されると考えました。


数時間のうちに続々と更新されていく進捗を眺めていると、UPSのお兄さんだかお姉さんだかが機械でバーコードをピッと読んだりしている姿が思い浮かびます。

ジャイプールって、どんな街なんだろう。

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UPSのジャイプールオフィス周辺の地図を見るに、近所にOld Take Away The Kebab Shopという店があります。
おいしそうな気配を感じて調べてみたらかなりの人気店みたい。

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近くにこんなカフェもある。ジャイプールって都会なんだな~なんて思いながら進展を待っていると、

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「とりあえずニューデリーまでは着いたわ!ここからまた別のところに移動するけぇ!」との表示になっていました。
やはりデリー(インディラ・ガンディー国際空港)から飛行機に乗るようです。


さぁ、ここからバンコク?それとも香港?何にせよ飛行機に乗っちゃえばあとはすぐ到着するね、と待っていたところ
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ケルン…


職場でスマホを2度見しました

ケルン…
ケルンってドイツ…?ちゃんとGermanyって書いてあるわ…ドイツだね…

ここで浦永はある可能性に気づきました。
UPSは自社便で限界まで運ぼうとしているのではないか。
誰の力を借りるでもなく。己だけの力で――と。
こういうピッチャー、野球漫画とかに出てくるよね。己の力しか信じないやつね。
無茶しやがって…おわかりいただけるだろうか。
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ニューデリー→ケルンまで約6,200kmあるんすよ(日本とは逆方向に)

ネットで調べたところ、ケルンにはUPSの航空HUBがあるようなので、提携他社に頼むのではなく限界まで自社ネットワークで運ぼうとした結果この経路になるのだろう。そうとしか考えられません。

仕事から帰り、夜中にFlightrader24というwebサイト(世界中の飛行機の飛行状況がわかる)を見てみると、確かにUPS機のルートでデリー→ケルンというのがあります。ではケルンから日本へはどうやって?

同サイトで調べるに、ケルンからのUPS機は香港と深圳と仁川にそれぞれ向かう便があるので、このいずれかを経由するのではないか。
そしてこんなことを考えながらよくよく見ると、ちょうどカザフスタンの上空を飛んでいる飛行機がケルンから深圳に向かっているではありませんか。


これだ。浦永は確信し、ニヤリと笑いました。

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翌朝目覚めて状況を確認したところ、BINGOです。やはり荷物は昨晩カザフスタンの空を飛んでいて、深圳に到着したのです。それにしても
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ケルン→深圳は9,200km。ジャイプール→ニューデリー間の270kmを足すと、現時点で地球0.4周くらいしている計算になります。
UPS、君の戦い方はどうかと思う。県大会は通過できたとしても甲子園本戦は――


ならば、深圳→成田or関空のどちらに来るのか?ということで検索。深圳→関空はそれらしい便がない。
では、深圳→成田の検索結果は…
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見つけた――!
自社機材を使うためにケルンまで経由させるUPSなら絶対に成田に来る、間違いない。

で、きっと日本国内に入ってからはUPSの日本での提携先のヤマト運輸にバトンタッチする流れだな。
深圳なら明後日くらいには届くかもしれない…

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と思ったら深圳で足止め。
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足止めされたかと思ったら、深圳からが急(9時間のうちに成田経由で大阪まで)

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その後、税関で書類検査を受け、

5/22の出発から10日経った今日(2020/06/01)…ついに、

「こんにちはー!ヤマト運輸ですぅー!代引きでお荷物届いておりますぅー!」
ここで、関税800円を支払いました。なるほど、こういうシステムね!
というわけで、来た!お疲れ!大変だったね、ケルンまで経由してきてさ…
「こんな遠回りするとは思わんかったけぇのぅ。たくさんの人たちに運んでもらってここまで来たけぇ、大切にしてつかぁさい」


あれ?でもEMSで来なかったね?UPSだし国際宅配便だね…?
クレジットカードの利用明細を確認しましたが、追加の送料は一切かかっていませんでした…。
ていうかインド本国の銀行経由の手数料もほとんどかかっていませんでした…。



◆届きました

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この大きなゴシック体、物々しくてイカすぜOK!
少し期待しましたが、スパイスみたいな匂いとかはしませんでした。

外側のビニールを外していきます。

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白い布にうちの住所と私の電話番号が直書きされている。

インドはどんな荷物を運ぶ際も、箱に入れてから白い布でくるむ習慣があるそうです。郵便局の近くにはどこでも「箱包み職人」がいて、彼らにお金を払って包んでもらうんだそうな。ネットで「インド 荷物 白い布」で検索すると箱包み職人さんたちの写真が出てくるよ。

布で包むということで、糸で縫ってくれるんだね。まつり縫いに玉留め、開けるのが大変なほど厳重に縫い綴じた上から、ロウで蓋がされているーー

いや、こっち側はまだいいけどさ、
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逆側…
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…事件現場かな?


この布や糸やロウはどこでどうやって作られているんだろう、というのも考えてみると奥深い。
目の前の小さな箱が、映画でしか見たことのない向こうの世界といま自分がいるこちらの世界のつなぎ目のように見えてくる。
ちなみに送り主のお名前は明らかにシーク教徒さんのお名前で、きっとターバンを巻いてらっしゃるんだろうな~なんて想像も膨らみます。


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白い布袋(を縫い綴じる構造になっていた)からは銀紙でできたみたいな箱が出てきて、

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ていうかこの箱、銀紙かと思いきや金属でできてて(この箱をつくる職人さんたちもまた現地にいるのね…!)

厚く敷かれた緩衝材の中の、さらに何重にもなった緩衝材やビニールパウチを開けていくと、

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あら!

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いいじゃない!

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しかも袋なんて、耳飾りが摩擦で傷つかないように中に仕切りがついている――

こういう袋の設計や梱包の丁寧さやからもわかる通り、ものすごく仕事が丁寧でびっくりしました。
ジュエリーそのものも構造がすごく凝ってて、作った職人さんたちの腕やデザインにも感嘆する。
近い将来、ぜひまた購入したいと思ってしまいました。


何より、
ネットでお買い物をすればインドから日本まで、ドイツと中国を経由して荷物が届く。
物流ってすごいや、と思った一件なのでした。